食のまちづくり条例 |
〔目次〕
前文 第1章 総則 (第1条―第3条) 第1条(目的) 第2条(定義) 第3条(基本理念) 第2章 食のまちづくり推進のための共通理解 (第4条―第6条) 第4条(市の理解) 第5条(市民の理解) 第6条(事業者の理解) 第3章 食のまちづくり推進のための基本原則 (第7条―第14条) 第1節 市の基本原則(第7条―第10条) 第7条(普及啓発) 第8条(市民意識の高揚) 第9条(市民意識の反映) 第10条(情報の提供) 第2節 市民および事業者の基本原則 (第11条―第13条) 第11条(食のまちづくりへの参画) 第12条(意見の提案) 第13条(情報の享受) 第3節 滞在者の基本原則(第14条) 第14条(施策への協力) 第4章 食のまちづくり推進のための基本計画 (第15条―第16条) 第15条(基本計画) 第16条(地区振興計画) 第5章 食のまちづくり推進のための基本的施策 (第17条―第22条) 第17条(産業の振興) 第18条(環境の保全) 第19条(福祉および健康の増進) 第20条(教育および伝承) 第21条(観光および交流) 第22条(安全で安心な食のまちづくり) 第6章 食のまちづくりの評価 (第23条・第24条) 第23条(食のまちづくりの評価) 第24条(食のまちづくりの調整) 第7章 食のまちづくり推進のための体制 (第25条―第30条) 第25条(審議会等) 第26条(市民からの意見の聴取) 第27条(市の体制整備) 第28条(連携) 第29条(地区への支援) 第30条(表彰) 第8章 食のまちづくり条例の位置付け (第31条―第33条) 第31条(この条例の位置付け) 第32条(条例等の整備) 第33条(この条例の見直し) 附則 |
〔条例前文〕
〔前文〕 | 小浜市に暮らす私たちは、先人が守り育ててきた優れた自然環境と伝統文化に感謝し、さらに磨きをかけ、未来につなげていくことが必要です。 若狭おばまには、古く、飛鳥・奈良の時代から、宮廷に食材を供給した、全国でも数少ない「御食国(みけつくに)」としての歴史があります。平安時代以降は、「若狭もの」という呼称のもとに、京都の食卓をも支えました。その歴史と伝統は、今も脈々と受け継がれており、若狭おばまは、食に豊かなまちとして発展してきています。 地方分権時代の中で、特色あるまちづくりが求められていますが、小浜にないものを外から取り入れたり、急進的にまちづくりを行うのではなく、もともとある資源を活用し、市民意識の高揚の中で持続的に進めていくことが必要です。 小浜市がまちづくりを推進する上で活用すべき資源は、歴史と伝統を誇る「食」です。持続可能な「食のまちづくり」を創造し、展開していくことが小浜市の将来にとって最も価値の高いものとなります。 私たちは、若狭おばまの歴史や風土を理解し、たぐいまれな「御食国(みけつくに)」としての伝統を重んじるとともに、「食のまちづくり」を共通した認識のもとに、自由な発想と絶え間ない学習の中で推進していかなければなりません。 市、市民および事業者が主体的に参画し、協働して「食のまちづくり」に取り組むことによって、さらにいきいきとした市民意識をはぐくみ、個性的で表情豊かな小浜市を形成することを目標に、この条例を制定します。 |
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第1章 総則 |
(目的) 第1条 |
この条例は、食のまちづくりに関する基本理念および基本原則を明らかにすると ともに、食のまちづくりの基本的施策を定めることにより、市、市民および事業者が主体的に参画し、協働して取り組むまちづくりの推進が図られ、もって個性豊かで活力ある小浜市を形成することを目的とする。 | |
(定義) 第2条 |
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 食 食材の生産、加工および流通に始まり、料理、食事に至るまでの広範な食に関わる様相ならびに食に関連して代々受け継がれてきた物心両面での習俗である食文化および食に関する歴史、伝統をいう。 (2) 食のまちづくり 食を守り、はぐくみ、および活かすまちづくりをいう。 (3) 身土不二(しんどふじ) 人は、生まれ育った土地および環境と密接なつながりを持っており、その土地で生産されたものを食することが最も身体に良いということをいう。 (4) 地産地消(ちさんちしょう) 地元で生産されたものを食することをいう。 |
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(基本理念) 第3条 |
食のまちづくりは、次の各号に掲げる基本理念に基づいて推進するものとす る。 (1) 食のまちづくりは、若狭おばまに息づく御食国(みけつくに)の歴史と伝統を重んじ、人が生きていく上で欠くことのできない食の安全性が確保され、食をはぐくむ自然環境が保全され、市民一人一人の健康が維持されるように行われなければならないこと。 (2) 食のまちづくりは、食を活用することにより、小浜市の産業全体が発展し、市民および観光その他を目的として小浜市を訪れる人々(以下「滞在者」という。)が楽しく食べ、語り合うことができる生活環境が整備されるように行われなければならないこと。 (3) 食のまちづくりは、教育を重んじることにより、食の重要性が市民一人一人に理解され、家庭および地域において継承されるように行われなければならないこと。 (4) 食のまちづくりは、小浜市の発展に寄与する将来の人材が育成されるように行われなければならないこと。 (5) 食のまちづくりは、食が市民の日常生活に深く関わるものであるという認識のもとに、市、市民および事業者が、主体的に参画し、互いに理解しあい、協働して行われなければならないこと。 |
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第2章 食のまちづくり推進のための共通理解 |
(市の理解) 第4条 |
市は、前条に定める食のまちづくりについての基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、食のまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、および実施するものとする。 2 市は、小浜市に存在する食の啓発に努めるとともに、市民および事業者の理解を得るよう努めるものとする。 |
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(市民の理解) 第5条 |
市民は、基本理念を理解し、自発的かつ自立的に食のまちづくりに取り組むとともに、市が実施する基本理念に基づく食のまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。 2 市民は、市が実施する基本理念に基づく食のまちづくりに関する施策に協力するに当たり、小浜市に存在する食を理解するよう努めるものとする。 |
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(事業者の理解) 第6条 |
事業者は、その事業活動が食のまちづくりと密接な関係にあることを自覚し、基本理念を理解し、市民と協力して食のまちづくりに取り組むとともに、その事業活動を 通じて、市が実施する基本理念に基づく食のまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。 2 事業者は、市が実施する基本理念に基づく食のまちづくりに関する施策に協力するに当たり、小浜市に存在する食を理解するよう努めるものとする。 |
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第3章 食のまちづくり推進のための基本原則 |
第1節 市の基本原則 |
(普及啓発) 第7条 |
市長は、食のまちづくりの理解を推進するため、普及啓発活動を行うものとする。 |
(市民意識の高揚) 第8条 |
市長は、市民および事業者の食のまちづくりへの意識の高揚を図り、参画を奨励 するものとする。 | ||
(市民意識の反映) 第9条 |
市長は、食のまちづくりを推進するに当たっては、広く市民から意見を聴取して 把握し、施策に反映するよう努めるものとする。 | ||
(情報の提供) 第10条 |
市長は、食のまちづくりの企画立案、実施および評価に関する情報を市民に提供するよう努めるものとする。 | ||
第2節 市民および事業者の基本原則 |
(食のまちづくりへの参画) 第11条 |
市民および事業者は、食のまちづくりをよく理解するとともに、食のまちづくりへの積極的な参画に努めるものとする。 | |
(意見の提案) 第12条 |
市民および事業者は、市に対して、食のまちづくりに関する意見を述べることができるものとする。 | ||
(情報の享受) 第13条 |
市民および事業者は、食のまちづくりの企画立案、実施および評価のそれぞれの過程において、情報の提供を受けることができるものとする。 | ||
第3節 滞在者の基本原則 |
(施策への協力) 第14条 |
滞在者は、市が推進する産業の振興、環境の保全、福祉および健康の増進、教育および伝承、観光および交流、安全で安心な食のまちづくり等に関する施策を理解し、協力するよう努めるものとする。 | |
第4章 食のまちづくり推進のための基本計画 |
(基本計画) 第15条 |
市長は、食のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、食のまちづくりに関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。 2 基本計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。 (1) 食のまちづくりに関する総合的かつ長期的な目標および施策の大綱 (2) 前号に掲げるもののほか、食のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 市長は、基本計画を定めるに当たっては、市民の意見を反映するよう努めなければならない。 4 市長は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。 |
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(地区振興計画) 第16条 |
市民は、基本理念に基づき、各地区において食のまちづくりを主体的に実施するため、地区振興計画を策定するものとする。 2 地区振興計画には、市民が主体となって取り組む事業を定めるものとする。 |
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第5章 食のまちづくり推進のための基本的施策 |
(産業の振興) 第17条 |
市長は、食のまちづくりの基盤となる食の生産および供給を安定的に維持するため、次の各号に掲げる施策を講じるものとする。 (1) 食の種類、量および品質を確保するため農林水産業の振興を図ること。 (2) 小浜市で生産し、または小浜市を経由する食の付加価値を高めるために情報化を図る等、産業活動の活性化を支援すること。 (3) 産業界、学界、公的機関等との連携を深め、食に関する研究、資源の開発等に努めること。 2 市民は、小浜市の産業の振興のため、若狭地域で生産し、または加工された食その他の製品の利用に努めるものとする。 3 事業者は、食のまちづくりの基本理念を理解し、誇りを持って自らの事業の推進および発展に努めるものとする。 |
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(環境の保全) 第18条 |
市長は、食のまちづくりを推進する上で必要な環境の保全に努めるため、次の各号に掲げる施策を講じるものとする。 (1) 山林等の自然環境を良好に保全すること。 (2) 海、河川および湖沼の水質を良好に保全すること。 (3) 耕地を良好に保全すること。 (4) 自然および町並みの景観を良好に保全すること。 2 市民は、環境保全のため、自ら行うことができることを見出し、その取組に努めるものとする。 3 事業者は、食のまちづくりの基本理念を理解し、自ら環境を守るとともに、市の講じる施策に協力するよう努めるものとする。 |
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(福祉および健康の増進) 第19条 |
市長は、食のまちづくりを推進する視点に立って、市民の福祉および健康の増進を図るため、次の各号に掲げる施策を講じるものとする。 (1) 身土不二(しんどふじ)に基づき、地産地消(ちさんちしょう)を奨励すること。 (2) 食の調和と健康に関する情報の収集および提供を行うことにより、啓発活動を行うこと。 (3) 産業界、学界、公的機関等との連携を深め、食と健康に関する研究および取組を進め、その成果を市民に公表し、さらに全国に発信すること。 2 市民は、健康な生活は健全な食からとの認識のもと、次の各号に掲げる事項に努めるものとする。 (1) 身土不二(しんどふじ)に基づき、地産地消(ちさんちしょう)を心がけること。 (2) 食の調和と健康に関する家庭における取組事例を市に提供すること。 3 事業者は、市民の福祉および健康の増進に寄与するため、食の調和と健康に関する参考事例を市に提供するよう努めるものとする。 |
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(教育および伝承) 第20条 |
市長は、食のまちづくりの持続的な発展を目指し、将来の担い手を育成するため、次の各号に掲げる施策を講じるものとする。 (1) 乳幼児、青少年およびその保護者に対し、保育所、幼稚園、学校およびその他の機関を通じて、食の重要性を指導すること。 (2) 家庭および地域において、食および食に関する作法が継承されるよう地域内外の交流、世代間交流等の機会を設けること。 (3) 市民が生涯にわたって食を広範に学習する機会を設けること。 (4) 小浜市の食および食に関連する周辺の文化(以下「食の周辺文化」という。)を研究し、その成果を広く市民に公表すること。 2 市民は、食に対する正しい理解が健全な生活を支え、乳幼児および青少年を健全にはぐくむとの認識を持ち、次の各号に掲げる事項に努めるものとする。 (1) 健康的な食を理解し、実践すること。 (2) 若狭地域の食を取り入れた四季折々の郷土食を体現すること。 (3) 家庭および地域において、食の重要性および食に関する作法を教育、伝承すること。 |
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(観光および交流) 第21条 |
市長は、食のまちづくりにより、市の活性化を図るため、適正な観光振興および交流人口の増加を図るため、次の各号に掲げる施策を講じるものとする。 (1) 食および食の周辺文化を活用し、市内および市以外の地域(以下「域外」という。)の人々との活発な交流を図ること。 (2) 市の観光資源を保全するとともに、その価値を高め、それらを活かせるよう工夫すること。 (3) 市内および域外において、小浜市の魅力を的確に伝えるための施設を整備し、適宜の催しを開催すること。 (4) 域外において、市の魅力を的確に伝えるために、各界で活躍する者を御食国(みけつくに)大使に任命し、広報活動を行うこと。 (5) 観光の振興および活発な交流を担う人材を育成すること。 2 市民は、市民相互の交流および域外の人々との活発な交流を促進するため、次の各号に掲げる事項に努めるものとする。 (1) 常にもてなしの心をはぐくみ、域外の人々を迎え入れること。 (2) 年間を通じて開催される観光の振興および交流の促進に関する催しを理解し、積極的に参画すること。 3 事業者は、観光の振興および交流の促進のため、次の各号に掲げる事項に努めるものとする。 (1) 常にもてなしの心をはぐくみ、域外の人々を迎え入れること。 (2) 小浜市の食の活用および提供を図ること。 |
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(安全で安心な食のまちづくり) 第22条 |
市長は、安全で安心な食のまちづくりを推進するため、次の各号に掲げる施策を講じるよう努めるものとする。 (1) 安全な食の供給を図ること。 (2) 市民および滞在者が安心できる環境をつくること。 2 市民は、安全で安心な環境づくりを進めるため、市民相互の連携を深めるとともに、乳幼児および青少年の健全な育成に努めるものとする。 3 事業者は、安全で安心な食のまちづくりの推進に協力するため、安全な食の提供および安全な環境づくりに努めるものとする。 |
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第6章 食のまちづくりの評価 |
(食のまちづくりの評価) 第23条 |
市長は、時代の変遷や、社会の変化、財政力等市の置かれた状況に照らして、食のまちづくりが市民にとって真に価値あるものとして実行されているかどうかについ て評価を実施するものとする。 |
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(食のまちづくりの調整) 第24条 |
市長は、前条の評価の結果に基づき、食のまちづくりの全体の調整を行うものとする。 | ||
第7章 食のまちづくり推進のための体制 |
(審議会等) 第25条 |
市長は、食のまちづくりに関する基本的施策を推進するに当たり、市民に関わる重要な事項について企画立案し、計画しようとする場合においては、審議会や委員会、 プロジェクトチーム等(以下「審議会等」という。)を設け、意見を聴取するものとする。 2 審議会等の委員は、市民、学識経験者、議員および市の職員等から選出するほか、公募による委員を加えるよう努めるものとする。 3 市長は、審議会等から聴取した意見の取扱いについて、検討し、決定するものとする。 4 市長は、前項の内容については、市民に公表するものとする。 5 前各項に定めるもののほか、審議会等に関し必要な事項は、別に定めるものとする。 |
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(市民からの意見の聴取) 第26条 |
市長は、食のまちづくりに関する基本的施策を推進するに当たり、市民に関わる重要な事項について企画立案し、計画しようとする場合においては、あらかじめ、その概要を公表し、市民に意見を求めるものとする。 2 市長は、前項の規定により提出された意見について、市民に公表するとともに、その意見を施策の決定において考慮するよう努めなければならない。 3 前2項に定めるもののほか、第1項の規定による意見の聴取に関し必要な事項は、別に定めるものとする。 |
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(市の体制整備) 第27条 |
市長は、食のまちづくりを推進するため、市の体制を整備するものとする。 2 市長は、審議会等における審議に応じ、必要と認められる場合においては、市の体制の整備を図るものとする。 |
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(連携) 第28条 |
市長は、食のまちづくりの充実を図るため、他の自治体との連携および国際的な連携を図るものとする。 | ||
(地区への支援) 第29条 |
市長は、第16条の地区振興計画を策定するための各地区の活動および地区振興計画に基づいて各地区が行う食のまちづくりを支援するものとする。 2 市長は、前項の支援を行う場合においては、地区ごとに公平を欠くことがないよう総合的に判断し、調整して行うものとする。 |
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(表彰) 第30条 |
市長は、基本理念に基づく食のまちづくりに関してその功績が特に顕著なものに対して、表彰を行うものとする。 2 市長は、第21条第1項第4号の御食国(みけつくに)大使のうち、域外において小浜市の魅力を伝えることにおいて、その功績が特に顕著なものに対して、表彰を行うものとする。 |
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第8章 食のまちづくり条例の位置付け |
(この条例の位置付け) 第31条 |
他の条例、規則その他の規程により食のまちづくりの制度を設け、または実施しようとする場合においては、この条例に定める事項を尊重しなければならない。 | |
(条例等の整備) 第32条 |
市は、この条例に基づいて、産業、環境、福祉、教育等必要と認められる分野の条例、規則その他の規程の整備に努めるものとする。 | ||
(この条例の見直し) 第33条 |
市は、時代の変遷や、社会の変化等市の置かれた状況に照らして、この条例が小浜市にふさわしいものであり続けているかどうかを検討するものとする。 2 市は、前項の規定による検討を踏まえ、この条例を改正する等必要な措置を講じるものとする。 |
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附 則 | この条例は、平成14年4月1日から施行する。 |
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